■人間はすべて死ぬ、だから人間は幸せではない。
苦しみの国の果てにある、不毛のすばらしい幸福を探す物語。
■『演劇の力』 野々下孝
今回の舞台は、一九四四年にフランスで刊行された、アルベール・カミュの戯曲「カリギュラ」をモチーフにしている。
暴君として知られる、ローマ帝国第三代皇帝カリギュラを題材に書かれた戯曲である。
「カリギュラ」の登場人物たちは皆恐ろしい程の情熱で幸福へと向かう。
困難を見付けだす努力こそが才能であり、才能のある者だけが見ることができる最果てに、彼等は向かう。
「幸福の果てには、苦しみの国があり、苦しみの果てには、不毛のすばらしい幸福がある。」
そんな、意味は通らないが、感覚的に分かるイメージを「カリギュラ」は孕んでいる。
戯曲に書かれたことは、その時点で全て死んでいる。ゆえに時代や言葉の壁を越えることはできない。
しかし「カリギュラ」が孕むイメージは、現在も生々しく脈打ち、今、日本に住んでいる我々がイメージするものと繋がっているのだ。
「カリギュラ」が孕むイメージを我々が孕み直し、
カミュが生んだ「カリギュラ」を我々が生み直す。
1944年にフランスの作家カミュが書いた作品を、2014年に日本で上演するということはそういうことだ。
我々は信じている、
イメージが、時代も国境も超えて観客に着床することを。
そしてそのときこそ、作品が普遍性を獲得することを。
それができる演劇が現代劇なのだと。
■出演 野々下孝 本田椋 飯沼由和 豊島豪
■照明 山澤和幸/音響 藤田翔 (キーウィサウンドワークス)/舞台監督・舞台美術 澤野正樹
テクニカルアドバイザー 鈴木拓 (boxes Inc.)/宣伝美術 川村智美/情宣写真 佐々木隆二
制作協力 佐々木一美/製作 仙台シアターラボ
■会場 せんだい演劇工房10-BOXbox-1 仙台市若林区卸町2-12-9 Tel.022-782-7510
■公演日程 2014年6月20日(金)、21日(土)、22日(日)
主催:仙台シアターラボ
助成:(公財)仙台市市民文化事業団/ (公財)宮城県文化振興財団
協力:せんだい演劇工房10-BOX / Studio +1