トライアル2015参加者体験談

伊藤富士子

 

2年前に初めて仙台シアターラボの舞台を拝見し衝撃を受けました。そしてこの舞台がどうやって作られるかに強く興味を持ちました。念願かなって今年トライアルに参加。稽古は「辛い」時間でした。辛い…というのはこれまで私がやってきた舞台表現とは真逆で、苦手な分野であることは想像していたからで、苦手な分野だからこそ、その分、得るものがありました。


構成演劇ということで様々なシーンがありましたが、その中でも「様式」というシーンに大変に興味を持ちました。最初は全くつかめませんでしたが、劇団員の皆さんの様式の稽古を凝視し、そこから能や歌舞伎にある型のようなものではないかという仮説に達しました。能や歌舞伎また狂言には伝統的な型があり、その型がまさにその芸であり、型を通して国や文化や言葉の壁を超え伝える力を持ち、そしてその型をまた観たいと思います。シアターラボでいう様式は、そのセリフの生理状態の身体の型を作り、その型に縛られるエネルギーによってはじめて言葉を発します。これこそ2年前に私がこの舞台に魅せられ、また観たいと思った根底であると気が付きました。実際に私も様式のシーンに出させて頂きましたが、私自身は変な力が入ってしまっただけで完成できたかどうかはわかりません。でも、この稽古を通し、お芝居というより…芝居を飛び越えたエネルギーの塊の世界を体験することができ、その影響で、そのほかの様々なシーンでも、私自身の内側の足りない部分を感じエネルギーを増すことができたように感じます。


このトライアルに参加し、たくさん掴みたいモノが見えました。掴めたモノはほんの僅かでした。でもその僅かなモノが私にとってかけがえのない宝物になったことは確かです。感謝でいっぱいです。ありがとうございました。

熊谷美咲


構成演劇について、改めて様々ことを考えさせたられた稽古期間でした。
わたしはこのトライアルに、どうしても構成演劇が作りたくて参加しました。高校時代の演劇部で、卒業公演として作った構成演劇の楽しさを忘れられなかったためです。
しかし、わたしには問題が山積みでした。一つは、知り合って間もない方たちに自分を全力で表現するのが難しく、どこか一歩引いてしまうところがある、ということです。そのため、より良いものを作るための必死さが足りなかったように思います。また、言い訳の一つですが、女子のみの座組でしか劇を作ったことがなく、男性と一緒の空間で演技をするということに最初は慣れなくて大変でした
他にも声の種類の少なさや身体の動きなど、一から考え直す必要のあるものも多かったです。

このように自分との戦いの毎日でしたが、その分多くのことを得られたと思います。 身体の使い方や仙台シアターラボさん独特な「様式」、シーン作りなどここでしか学べないことが本当にたくさんありました。

今回の公演での体験を通して、たくさん学んだことがあるのはもちろんですが、課題もたくさん見つかりました。自分というものを見つめ直すとてもいい機会になりました。
そして、改めて構成演劇のおもしろさに触れられたと思います。
トライアルに参加することができて、そして出演者・スタッフの皆さんと素晴らしい舞台を作ることができて本当に楽しかったです。
ありがとうございました。

菊池陽哉

トライアルを知ったのは、とある公演に挟まっていた折込だった。今年の春から演劇を始め、とにかく経験を積みたいという思いから、やってみたいと思った。

稽古期間は3か月、実質約2か月という短期集中の内容で、毎日が稽古であった。時間的にほぼ毎日5時間というのは辛かったが、密度が高く、とても過ぎ去るのがあっという間であった。何よりも稽古内容が一発勝負の繰り返しで、常に頭を働かせていなくてはならない。これをずっとやっていくのだから力はつくはずだ。

今回のこの経験は、自分の課題をたくさん見つけることができた。まず滑舌、次にアイディア力。ここが劇団員と圧倒的に差があった。どれだけ面白いシーンをつくれるか、シーンを作っていくために限られた条件でどれだけアイディアを出していけるのか、ここに差を感じた。
そして感情の表現力。感情をどれだけ自分の中で高められるか、そしてそれを持続させることができるか、一瞬で高い状態まで持っていけるか。工夫や考え方などたくさんのことが勉強になったし、いい訓練にもなった。

トライアルに参加したことは、自分にとって必ずプラスになった。とても多くのことを学び、それをこれから様々なことに生かしていきたいと思う。

短い間でしたが、本当にありがとうございました。

岩佐優弥

 

私にとって初めてだらけの日々でした。

こんなにも演劇で頭を使った事もは初めてです。
歌の発表かと思いきやそれを演劇的にするという事など、難しくもありましたがとても面白い経験でした。

舞台の体ができていない私は発声がままならずその部分も苦戦しておりましたが、基礎のところも教えていただきこれをきちんと続けていけば大丈夫という気持ちにもなりました。

劇団員の方や私のような一般参加者のみなさんもとても気持ちの良い方ばかりで、楽しく稽古を続ける事ができました。
最初の頃は頭の中が?でいっぱいでしたがこれが自分の課題でもあるんだなと思います。
こういった課題を一つ一つ乗り越えていくことで役者として磨かれていくことでしょう。
年齢を越えてみなさんから沢山の事を学ばせていただきました。
やっぱりみんなで作り上げていくのは楽しいですね!今回参加できて本当によかったと思います。

ほとんどおんぶに抱っこ状態だった私をここまで連れてきてくださりありがとうございました。またご縁がありましたらよろしくお願いいたします。
野々下さんはじめ劇団員のみなさん、一般参加者のみなさん、そして朝早くから夜遅くまで作業していただいたスタッフのみなさん本当にありがとうございました。

世良未来

このトライアルに参加すると決めた時、私は真っさらなノートと同じ状態になろうと思った。表紙も中身も、何も書かれていない、だからこそ何でも書き込めるノートになろうと思った。

「演劇の舞台に立ってみたい」と、至極シンプルな気持ちから応募したトライアル公演。もちろん、経験などない。稽古で学ぶほとんどが、私には新しかった。例えば「大きな声を出すこと」演劇に携わる人にとっては出来て当然の事が、あまりに出来なかった。稽古に行くたび、反省と、新たに得た「何か」があった。目まぐるしくて、息継ぎもろくに出来無いクロールで毎日を泳いだ。辛かったけれど、ワクワクが止まらない。海の中にズドンと落ちて、水をたくさん飲みながら見た新たな世界だった。

そもそも演劇経験0の私は、いわゆる「演劇人」や「表現を生業としている人」に、この3ヶ月以上に囲まれた日々は無かった。今までの選択では、決して出会うことのなかった人々に、たくさん出会えた。いろんな考えや、話をきけた。それらはきっと、私の心や体の中に、自然と残って、巡っているような気がする。

周りの方々に、負んぶに抱っこされながら、どうにか立ち上がろうとした私は、結果立ち上がれただろうか。自分自身では分からない。ノートの白いページは、埋まるどころか増えて、厚みが増した。もう既に、のどが渇いている。この経験は必ず私の中で生き続けるだろう。
(…
果たしてこれは体験談になっているだろうか
)

MIE

 

今回トライアル2015に参加させて頂くきっかけは、ミュージカルでの野々下さんとの共演でした。

ミュージカル畑に五年いましたが、ミュージカルは決まった台詞決まった歌決まった振り付けに自分の気持ちと心と言う接着剤で繋ぎ会わせ表現してきました。

今回は挑戦者としてミュージカル以外の未知の入口に入りましたが、ゼロから作り上げていくプロセスがとても難しく、考えれば考えるほどわからなくなり、自分も芝居の稽古もしてきたのに何してきたのだろうと、情けなくもなりました。

本番に近づいていくまでには、何とかわかるかな?と思ってましたが、結局未知の入口に入りましたが、理解と言う出口の扉は開けれなかったように思います。


でもミュージカルも、映画も、演劇も、目指す根本的な事は同じで手法が違うだけ。   

シアラボさんはエネルギッシュな若い方が沢山いて刺激になりました。
ご指導ありがとうございました。
今回の事を活かしつつ頑張ります。


また野々下さん始め、ご一緒した皆さんも素敵な役者さんばかりで、このご縁に感謝致します。
ありがとうございました。