トライアル2013参加者体験談

工藤 大嘉

発声、身体訓練、フリーエチュード、ショートストーリーズ、ものまね、ルパム、様式。稽古で学んだ技術的な事は挙げると切りが無い。自分に足りないものを日々感じ、稽古に励んだ。
しかし私がこのトライアルで1番学んで良かったと思うのは「プロ意識」である。私の中でこの公演中にプロ意識が芽生えたと思う。私の中のプロとはより良い作品のために寝る間も惜しみ稽古に励み、自分の仕事に責任を持つことであると思った。口で言うのは簡単だが行動に移すのがこれまた難しい。人間とは自分に厳しくあろうと思っていても楽な方、楽な方に流れてしまいがちである。より良い作品のためにと思ってはいても疲れがたまったり睡眠不足になるとこれでもういいのではないか?という惰性の心が生まれてくる。私はその心をここで徹底的に改革してもらった気がする。
毎回毎回の稽古を全力で行う劇団員さんのエネルギーに引っ張られ惰性に浸かっている時間などなかった。それは公演中も同じである。公演の疲れがたまっている時にも次の公演で修正できるように二回公演の合間に稽古をするのだ。正直、辛かった。もういいだろと思う自分もいた。しかし劇団員さんがそれを許してくれなかった。というより許さないでくれた。
今になって、まだまだ良くできると期待してくれて稽古をしていただいた劇団員さんの優しさに本当に感謝しています。
これからもそのような集団の中で演劇をやりたいと思いました。
これからも歯を食いしばり悶絶しながらストイックに稽古に励みたいと思います。
劇団員のみなさん本当にありがとうございました。

豊島豪

トライアル2013を無事終え、今ホッと一息。
友達からの労いの言葉が嬉しい。
舞台に立つ前の緊張感は例えようのないものだった。
舞台に立ってしまえばあとは役に集中できる。
この感覚も例えようがない。
舞台は未知の世界。
その世界を楽しんでる自分がいた。
小学生の頃もこんな気持ちで学校のステージに立っていたのだろうか。
役作りの過程は楽しかったが、いくつも難があって決して順風満帆ではなかった。2人で一つの役を演じるということは2人分、自分の思う役の像があることになる。当然僕はこんなことは初だ。互いの意見を取り入れ、実験し、たくさん失敗する。だがこの失敗はプラスになっていった。そのおかげで少しずつ役の大まかな人物像が決まっていったからだ。
シアラボ版のセゾニア。そのコンセプトに近づけた気がした。
沢山小道具提案をし、沢山動きを提案する。そのなかから「これだ!!」と二人で納得する瞬間は最高だった。こういうのが稽古で一番印象に残ってる。
2人で一つの役を作るというのは本当に大変だ。でもそこから得るものは一人で作るものの2倍、3倍はある。舞台に存在するものとしてなかなかいい役ができたのではないだろうか。メイクなんかもして。外見だけは一丁前だったかも知れない。
なんとか人外にしようと頑張ったのを思い出す。

パートナーになった俊平には本当に感謝したい。人の考えは視点の違いで大いに変わり、それを合わせれば幅広い選択肢が生まれるものだ。なかなか一人で決まらない部分も2人でならば一撃だった。
そして今回は劇団員と一緒に演劇をした。これも初だ。
様式、ルパム。溶け込めたのは嬉しいことだ。
シアラボ初の台本芝居というこの舞台に携われて嬉しい。

これからいろんな事をしていく上でこの経験は必ず活かしたい。

改めて演劇は不思議なものだ。携わっている人達の気持ちが少しわかった気がする。 
気づいたら舞台に立っている感覚。
気づいたら舞台が終わっている感覚。

最後に、トライアル2013を支えてくださった方々、見に来て下さった方々。団員。お世話になりましたありがとうございました。

佐々木俊平

 

今回仙台シアターラボのトライアル2013に参加させていただいて得たものはあまりにも大きなものだ。

俳優としての考え方。一社会人として、演劇人としての考え方。演劇や、演技への個人としての向き合い方を探す事の重要さ。舞台全体を充実させる為にどうやって自分の演技や感情を充実させていくか。

今まで自分が考えられていなかった事など、本当に凝縮された約半年の稽古期間だった。

 

そして今回本当に今までやってきた演劇と違ったのは「構成演劇」であると言う事だった。観劇したことはあったが、実際にやった事は1度もなかった。

リアリズムが全てでない事が最初はとても困惑したが、様式の引き込まれる様な魅力やシアラボメンバーが様式や歩行をする姿にすぐに引き込まれた。そしてそれがどの様な意識や感覚でやっているかをメンバーに聞いて少しでも上手くなりたいという好奇心や知識欲も加速していった。

そして、もう1つ大きく印象に残っているのは仙台シアターラボは基礎訓練を大事にしているという事だ。トライアルが始まってからメモを取る事を習慣付ける事を教わったのでトライアルノートはこの半年で丁度2冊になった。ノートを見返すと前半は基礎訓練のダメだしなどが大半で、その一つ一つがとても重要で自分にとって大きな前進に成りうるダメだしだった。そしてこれからも基礎訓練を続けていくことで俳優としての自分自身が前進していけると思える。

自分にとってトライアル2013は基礎の重要さを改めて見つめられた機会でもあった。基礎が凄い俳優が凄い俳優だと言う事を観て聞いて考えて実感した。

仙台シアターラボのメンバーと共演できた事はもちろん凄く嬉しい事だったが、それ以上に一緒に稽古を半年もできた事が自分の大きな経験になった。メンバー一人一人に“プロ”を感じた。そのプロ達から学ぶ事は本当に多く沢山の事を考えさせられた。と同時に自分の未熟さを本当に大いに思い知らせれた。

仙台シアターラボへの感謝。

トライアル参加者への感謝。

自分への悔しさ。

これからへの決意。

 

今回の仙台シアターラボトライアル2013で出せなかったのかもしれない100%、120%、否200%をこれから出していく事が仙台シアターラボへの少しでも恩返しになるかもしれない。

 

最後に自分のトライアルノートに書いた野々下さんに言われた言葉を抜粋する。

沢山の心に残っている言葉があるが、最初のページに書いた言葉を。

 

 

「俳優とは、自分自身を見つめる事。ここからのスタート」